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1950年代末に始まり、1986年の死の直前までつづく、迷宮のごとき土方巽の多彩な舞踏活動を、色彩豊なポスターをポータルにしてガイダンス

土方巽舞踏公演 《土方巽と日本人—肉体の叛乱》 1968.10.9~10

会場
日本青年館(千駄ヶ谷)
作品名
土方巽と日本人—肉体の叛乱
構成・演出・振付
土方巽
出演
土方巽
美術
中西夏之 / 土井典 / 横尾忠則
音楽
和田則彦 / 深町純(ピアノ演奏)
関係者
中村宏

About the poster

寸法
B1
デザイン
横尾忠則 YOKOO Tadanori

About the performance

土方巽にとって、1960年代の舞踏の集大成ともなるソロの舞台である。土方自身、この公演にかけているといい、「土方巽による土方巽ということをはっきりやらねばならぬ年に来た」との決意をもって臨んだ。

会場の日本青年館の前に白馬がつながれ観客を迎えた。馬鹿王の行列をもって公演は始まった。リヤカーでできた輿の上に仁王立ちになる土方を中心に、乳児用ベッドの上の豚、長いポールの上のウサギ、真鍮版、アメン棒と呼ばれる床屋の看板、猛烈な音を鳴り響かせるバイクのエンジンなどの行列が、客席奥から舞台へと進む。

舞台に降り立った土方が会場を睥睨し、不気味な笑いを投げかけて、いよいよ土方の独壇場となる。

前後ろに着用した白い振袖、赤く短い着物とロングソックス、床に引きずるロングドレス、白い帽子に白い上下の洋服、作業用の黒いゴムの長手袋に光るロングドレス、裸体に模造男根、腰に巻きつけで垂らした長い布衣裳。

土方は、それらの衣裳に合わせるように、長髪を結い直しては登場する。

舞台には、六曲屏風が解体されたかのように6枚の真鍮板が吊るされていた。左端の真鍮板の上部には生きた鶏が逆さに吊されている。土方は真鍮板を揺らし、真鍮板に自らの体をぶつけ、あるいは生きた鶏に両手をかけてぶら下がるように。真鍮板は照明の光を乱反射させる。

スパニッシュダンス、バレエ、ジャズダンス。ワルツあり、クラッシックあり、ジャズあり、舞台上には二台のスタンドピアノがおかれ、二人のピアニスト(和田則彦、深町純)による演奏も。

フィナーレ、二階客席から舞台上へと張られたロープに、土方は宙吊りにされ昇天するキリストになる。そして、舞台に降り立った土方は、大きな生きた鯉を口に咥え、両手を上げて、鳴り止まぬフィナーレの拍手と歓呼に応える。

「あらゆる暴動は舞踊である。そしてあらゆる舞踊は、それが舞踊であるかぎりにおいて、暴動である。」そして、「大凶事はつねに肉体の反乱たる舞踊によって先導された。」(種村季弘「肉体の反乱」)というテーゼを実践するかのような舞台であった。

舞台美術は中西夏之。ポスターデザインは横尾忠則。

土方が次に舞踏公演の舞台に現れるのは、1972年10月、4年後である。

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