慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

マイ・ライフ勉強会 Ⅱ

──興ちゃん、こぎゃなこつしてッ、お母さんの死ぬところは撮って何んになっとネーッ!!これがあんたの芸術ね!!こぎゃな人の死ぬところばテレビに撮るとばやめなはれ!!私しゃァー見るにしのびないかと──。もう2度と死ぬところば撮るのやめなっせッー……ネ!!
と言って、涙でハンカチをぬらした。
小生は言った。
──ハイ!!おばさん、母の死は1回しか撮れません。
[…]どうか皆さんも、仏壇の上のあの無言の葬式写真をひきずりおろして、今すぐ、ビデオに向かって仏壇ビデオづくりを進めようではありませんか!!

──中嶋興「中島興のドキュメント第9回:君の人生におこる生と死の二つのセレモニーで、「マイライフビデオ」をつくろう!!」[掲載誌未詳。NAK0402]

中嶋興の《MY LIFE》は1971年に制作が開始され、約50年を経た現在も制作が続いている未完の作品である。現在までに数度パッケージ化されている。代表的な版としては1976年版、1982年版、1992年版、2012年版、2014年版、2019年版等が挙げられる。それは中嶋の父親の死と息子の誕生を契機に制作開始された家族を対象としたモノクロの映像作品である。1977年、熊本の熊日画廊にて初公開。家族を中心的な対象に据えた膨大な記録映像を数十分に縮約し、2画面に分割して見せる作品である。中嶋はアーティストであるとともに、未完の「MY LIFE」へと折り畳まれる膨大な資料群を制作するひとりのアーキヴィストでもある。

アーカイヴの一つのモデルとして「アート・アーカイヴ特殊講義(秋学期)」内において中嶋の《MY LIFE》を鑑賞・分析し、この講義をもとに各学生が「MY LIFE」動画を制作するワークショップを開いた。本勉強会は学生制作の「MY LIFE」動画を上映し、中嶋に講評してもらった後、ビデオとアーカイヴについての議論を行う。

《MY LIFE》は芸術史やメディア史においてどのような位置を占めるのだろうか。また、ビデオが一般化し、生活になくてはならなくなった現在において、 ビデオによってアーカイヴを作るとはどういうことなのか、アーカイヴには何ができるのか、ビデオとそのアーカイヴの可能性の中心を探る。

*本イベントは、非公開、事後動画記録の閲覧を予定。
**令和5年度メディア芸術アーカイブ推進支援事業「1970年代以降のパフォーマンスおよび展覧会のビデオ記録のデジタル化・レコード化」の関連イベントである。
***慶應義塾大学アート・センター設置講座である「アート・アーカイヴ特殊講義」はアーカイヴを単なる物の集積としてだけ見るのではなく、一つの思考の方法論でもあることを具体的な芸術実践を通して学ぶことを目的としている。

第1部 10:45-12:15:学生による「MY LIFE」動画作品の上映と講評
第2部 12:15-13:15:NEW 《MY LIFE》およびビデオとアーカイヴについての議論

日時

2024年1月31日10:45-13:15

場所

対象

本イベントは、非公開だが、事後記録配信を予定している。

お問い合わせ

日時

2024年1月31日10:45-13:15

場所

対象

本イベントは、非公開だが、事後記録配信を予定している。

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主催・共催など

主催:慶應義塾大学アート・センター
助成:令和5年度 メディア芸術アーカイブ推進支援事業 メディアアート分野「1970年代以降のパフォーマンスおよび展覧会のビデオ記録のデジタル化・レコード化」