慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

パピエプリエ03:第五の季節—瀧口修造とジュアン・ミロ

ミロよ
あなたにならって
蜻蛉の誕生日を祝おう
この島々の国で
あなたがもたらした㐧五の季節の
ある晴れた日に
——詩:瀧口修造、画:ジョアン・ミロ「ミロよ[…]」1966年[色紙に書かれた 詩「ミロの星とともに」の最終節およびミロのドローイング。この色紙の詩と『ミロの星とともに』に掲載された同節には若干の異同がある。]

詩と絵とはつねに貧しいときのパンと水のようなものでなければならないのである。
——瀧口修造「ミロと詩画集」『画家の沈黙の部分』みすず書房、1969年、128頁(『コレクション瀧口修造2』みすず書房、1991年、192頁。)

 

 1940年、瀧口修造は世界でもっとも早いジュアン・ミロのモノグラフ『ミロ(西洋美術文庫48)』(アトリヱ社)を上梓した。1958年、瀧口はヴェネツィア・ビエンナーレの日本代表兼審査員として渡欧し、欧州旅行を行ったが、その際ミロと会うことを望みながらも叶わなかった。ミロへの継続する関心を持ちながら実際2人が出会ったのは1966年の個展にあわせたミロ初来日の際だった。この展覧会を記念して瀧口が書き、朗読された詩が「ミロの星とともに」である。1966年10月4日の日付を持つ、瀧口が詩を書きその周囲を巡るようにミロがドローイングを描いた色紙は、最初の共作詩画と呼べるだろう。ここに書かれた詩は「ミロの星とともに」の最終節である。そこに記された「第五の季節」という瀧口の言葉は、四季がめぐる1年の内に胚胎した空白の季節、あるいは過ぎ去ることのない、もうひとつの季節を指しているのかもしれない。太陽と地球の関係によって生まれるのが四季だとしたら、「第五の季節」とは「ミロの星とともに」あること、すなわちミロと瀧口の関係によって生まれた季節だと言える。
 2人が交わした書簡と2冊の共作詩画集『手づくり諺  ジョアン・ミロに』(1970年)、『ミロの星とともに』(1978年)はその季節の痕跡として私たちに残されている。本シンポジウムでは、往復書簡を読み解き、2冊の共作詩画集へ至るプロセスおよびそこで展開された諸問題について考えたい。


チラシ:ダウンロード

日時

2025年12月6日[土]13–16時

場所

慶應義塾大学三田キャンパス 東館6階G-lab(キャンパスマップ⑬)

対象

どなたでもご参加いただけます。事前申込みは不要です。

費用

無料

お問い合わせ

慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621

日時

2025年12月6日[土]13–16時

場所

〒108-8345 東京都港区三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス東館6階G-lab(キャンパスマップ⑬)
最寄駅:JR山手線・京浜東北線 田町駅、地下鉄三田線・浅草線 三田駅、大江戸線 赤羽橋駅

対象

どなたでもご参加いただけます。事前申込みは不要です。

費用

無料

登壇者/出演者

登壇者:朝木由香、朝吹亮二、笠井裕之、松田健児(JSPS科研費 19K00147)、瀧口修造研究会メンバー(カニエ・ナハ、久保仁志、桑田光平、田中裕希、山腰亮介、山本浩貴[いぬのせなか座])、富山県美術館(八木宏昌)

タイムテーブル

【1部】
13:00–14:20|瀧口修造とジュアン・ミロの往復書簡について

【休憩】
14:20–14:40

【2部】
14:40–15:00|富山県美術館の展示室(瀧口修造とジュアン・ミロ:書簡と詩画集)を同時中継
15:00–16:00|往復書簡と2冊の詩画集について

お問い合わせ

慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621

主催・共催など

主催:慶應義塾大学アート・センター
協力:富山県美術館

 


*パピエプリエ:〈パピエプリエ[papier plié]〉とは、瀧口が「手づくり本」に準ずるものに付けた名称である。直訳すると「折り畳まれた紙」だが、折紙を指す場合もある。『シュルレアリスム簡約辞典』(1938年)の「美しい死骸」の項目に、次のような説明がある。「いく人かの人間に、一句乃至はひとつのデッサンをかかせることでなりたつ、パピエプリエの遊び。」(アンドレ・ブルトン、ポール・エリュアール編『シュルレアリスム簡約辞典』江原順訳、現代思潮社、1976年、6頁[初版1971年]。原文を参照しつつ一部訳語を変更した。)。遊びの最中、前の人が書いた/描いたものは折り畳まれて隠され、次の人は見ることができない。

**シンポジウムの内容は急遽変更になる場合があります。HPをご確認下さい。