慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

朝倉文夫《平和来》洗浄保存処置

 三田キャンパスに設置されている3点の野外彫刻に関しては、2001年度に朝倉文夫《平和来》、柴田佳石《福澤諭吉胸像》について、2003年度及び2005年度には3点全てについて、洗浄保存処置を実施している(本年報9号、41-46頁。11号、61-65頁。13号、41-43頁参照。作品詳細情報についても同書11号を参照のこと)。再び作品表面に汚損が認められたため、アート・センターを通じて専門家の指導の下、博物館学実習の講義の一環として洗浄保存処置を行った。これまでの処置を行ってきたブロンズスタジオ・黒川弘毅氏に依頼し、指導および作業を実施した。
 2007年9月11日午前中に作品保存・修復に関する講義を行い、午後に実践を実見および、体験する授業を行った。


保存修復作業記録

2007年9月11日/作業者 黒川弘毅、伊藤一洋

作品

  • 作品作者:朝倉文夫
  • 題名:平和来
  • 制作年:1952年
  • 材質・技法:ブロンズ
  • 寸法:1,850(H)×580(W)×570(D)mm

【作品の状態】

・表面の状態:顕著な変化は認められない。撥水性は、部分的に減退がみられたが、良好に維持されていた。
・鳥の排泄物:痕跡が見られた。
・人為的キズ・落書き:なし
・ピンホール・穴・亀裂:顕著なものは認められない。
・内部からの噴出・析出物:なし
・破損・欠失箇所:なし
・変形箇所:なし
・その他の異常顕著なものは認められない。
・固定状態:良好

【作業の基本方針】

洗浄した後、保護剤を塗布して撥水性を維持する。

【作業内容】

1.洗浄作業非イオン系洗剤を用いて洗浄した。
使用材料 非イオン系洗剤溶液
2.保護剤塗布作業蜜蝋を全体に塗布した。輪郭にメリハリが出るように光沢を調整した。
使用材料 蜜蝋、リグロイン

【作業結果】

作業前と比較して顕著な変化は認められない。

 

日付

2007/9/11