慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

菊池一雄《青年》の設置

 菊池一雄(1909-85)の《青年》は1949年に竣工した谷口吉郎設計による旧4号館の前庭に設置されていた。その後、校舎の改築に伴い、オリジナルの大谷石の台座のまま、研究室棟脇の煉瓦壁の前に移設されたたが、台座部分の痛みが激しく、危険な状態であったため、2001年12月に撤去され保存修復処置が施された。(本年報9号47-49頁)。作品詳細情報についても同書を参照のこと。2008年春に西校舎と研究棟の間の広場を整備するに際し、新たな台座を施して再設置した。なお、その際に台座の寸法については以前の台座を踏襲した。



保存修復作業記録

2008年5月 ブロンズスタジオ・黒川弘毅/黒川弘毅(ブロンズスタジオ)/大野春男、吉村栄夫(石歩)

作品

  • 作者:菊池一雄
  • 作品名:青年(台座側面銅板には「立像青年」の記載)
  • 制作年:1948年
  • 素材・技法:ブロンズ
  • 寸法:173x40x35cm
  • 記名:側面に銅板の銘文
  • 坂本直樹君寄贈

【作業の基本方針】

 台座(小松石92x67x55cm)を指定位置に固定し、ブロンズ像と銘板を台石に固定する。(なお、床インターロッキングの白色部は移設前の基台寸法を近似的に踏襲した。)

【作業の基本方針】

 洗浄した後、保護剤を更新して撥水性を維持する。

【作業内容】

1.台座固定
指定位置に台座を設置した。
コンクリート基礎までアンカー穴を穿孔し、台石をステンレス製アンカーボルト(直径20㎜)2本とエポキシ樹脂系充填剤で基礎に固定した。インターロッキングの水勾配に対して無収縮モルタル目地をとって、台座底面の水平を確保した。

 2.ブロンズ像固定
ブロンズ像を北館地下倉庫から現場へ移動し、台石に固定した。
アンカー穴を台石に穿孔し、像の地山に内蔵されていた固定金具付属のアンカーボルト2本をエポキシ樹脂系充填剤を用いて固定した。銘板は、アンカーボルト4本を同様に固定した。

写真は左から
写真1:修復前
写真2:修復後

日付

2008年4月13日