慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

【特別企画】命の実感プログラム:土の土方像と水滴の時間

 慶応義塾大学鶴岡タウンキャンパスに設置した土と泥で作られた土方巽像の上に、期間中昼夜一定間隔で水滴を落とし続けました。土の塊を崩していく一粒一粒の水滴の落下は私たち生ある者の鼓動の連続と死を受容する運命的な時間を感受させ、特にその場に立ち会う人々に生と死を圧縮した異質な時間を体験させるものでした。

 水滴の数を赤外線カウンターで計量すると共に、土の像が崩れてゆく全過程を超高精細映像で撮影した動画は三田にリアル・タイムで、また静止画はテレサポートの協力で庄内各地に配信されました。

 この特別プログラムは、鶴岡を舞台にして日本人の死生観を探り、現代に生きることの意味を世界に発信しようとする教育・研究上の試みです。

チラシはこちら

報告書
小菅隼人、森下隆、本間友、亀村佳宏「演劇研究の新たな可能性「命の実感プログラムー土の土方と水滴の時間」の実践について」
こちらからご覧ください。

日時

2008年8月31日〜9月3日

場所

[インスタレーション]慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパス
[ハイビジョン映像リアルタイム伝送]慶應義塾大学三田キャンパス(DMC工房 B-ONE ギャラリー)

対象

お問い合わせ


日時

2008年8月31日〜9月3日

場所

[インスタレーション]慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパス
[ハイビジョン映像リアルタイム伝送]慶應義塾大学三田キャンパス(DMC工房 B-ONE ギャラリー)

対象

お問い合わせ

主催・共催など

[企画・制作]慶應義塾大学教養研究センター、土の土方制作チーム、小菅隼人、森下隆、本間友、亀村佳宏

[伝送・録画]慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ総合研究機構(DMC機構)、研究プロジェクトポートフォリオ BUTOHセンター

[協力]株式会社ウィルコム、INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」、株式会社テレサポート、慶應義塾大学アート・センター、慶應義塾大学DMC機構、慶應義塾大学出版界、NPO法人舞踏創造資源、辻孝二郎、浜崎光夫、後藤泰男、岩月真由子、石田信裕、吉江庄蔵、鈴木真由美、真島大栄、山方祟、金子晋丈、崔宰


土方巽と「衰弱体」

世界の舞踏芸術の一潮流ともなった舞踏を創造した土方巽が、晩年に至って懐いた考えに「衰弱体」というものがあります。1960年代にあって、破壊的で暴力的な表現を志向した土方巽が、1970年代に入ると、十全でない身体、病や老いの身体を表現しようとしました。その果てに生まれた考えが「衰弱体」の思想です。それは、決して生を放棄する思想ではなく、舞踏でもって「生」を追求するものでありました。土方巽は、きわめて豊かな表現力と桁外れの構築力を有した芸術家でありながら、その一方では、表現そのものを懐疑し、あるいは消滅する表現を考えていました。その一つとして、死にゆく肉体を見つめる自分がいて、その様子を踊りにすることを考えていました。