瀧口修造と分身あるいは影像
吸取紙とは何ものかである。それは、それ自体によって残存する。それはこの今である。私はそれを保持し続けるだろう。瀧口修造 一九六〇年[Blotting paper is something. It remains by itself. It is this now. I will keep it. Shuzo Takiguchi, 1960.]
瀧口修造による以下2冊の「手づくり本」に記載されている文:『マティアス・グリューネヴァルトの失われた日記、または画家のハンドブック[LOST DIARY OF MATHIAS GRÜNEWALD OR PAINTER'S HANDBOOK]』(1960年)、『吸取紙とは何ものかである、等々…[BLOTTING PAPER IS SOMETHING, ET CETRA…]』(1961-62年)
詩人・美術評論家の瀧口は1960年頃から通称「手づくり本」と呼ばれる本を作っていた。出版社や印刷所のプロセスを経ていない、瀧口自身の手仕事による本であり、ドローイング、雑誌の切り抜き、印刷物のコピー、銀紙、ラベル・シール、手書きのメモ等、いわゆる断片の寄せ集めによって構成され、完成にも、未完成にも見える本である。
本展では吸取紙を用いた2冊の「手づくり本」『マティアス・グリューネヴァルトの失われた日記、または画家のハンドブック』『吸取紙とは何ものかである、等々…』、およびデカルコマニー(転写)による連作20点《マチアス・グリューネウァルトの幽霊》(初出:「私の心臓は時を刻む」展|南画廊|1962年)に焦点を当てる。吸取紙は、絵具やインクの余分な水分を吸い取り、水彩画などにおいてはにじみを抑えたり、色の濃度を調整する等の用途で用いられる。デカルコマニーは、18世紀に開発された転写技法で、絵具などのメディウムを表面に塗り広げ、まだ乾いていないうちに紙などの素材で覆い、それを取り除くと模様が転写される。この技法はシュルレアリストらによって、偶発的なイメージを生み出す手法として用いられた。吸取紙もデカルコマニーも写し取られた「影」=「分身」として生まれる。これら一連の作品は瀧口の「影像」という概念を考えるための糸口となるだろう。
瀧口修造の生誕120年を機に、2023年から富山県美術館におけるコレクション展の一環として、瀧口旧蔵資料を分有する慶應義塾大学アート・センターと共同企画を行っており、本展はその第4回目にあたる。過去の共同企画展は以下の通り。「瀧口修造生誕120周年記念展示:ウィルソン・リンカーン・システムとしての〈本〉」(2023年11月2日–2024年2月6日)、「手紙と漂流詩」(2024年11月7日–2025年2月11日)、「瀧口修造とジュアン・ミロ:2冊の詩画集と書簡」(2025年10月9日–2026年1月12日)。
*「マティアス・グリューネヴァルト」と「マチアス・グリューネウァルト」の表記揺れは瀧口の翻訳の変遷を尊重し、典拠に従っている。
展覧会チラシ:ダウンロード
日時
2026年9月25日–2026年12月28日
休館日:毎週水曜日(ただし月・日は開館)、10月13日(火)、11月24日(火)
場所
富山県美術館3階展示室6
対象
コレクション展観覧券をお持ちの方は、どなたでもご覧いただけます。
*企画展観覧券でご入場の方は、当日に限りコレクション展も観覧可能です。
*70才以上と大学生以下の方はコレクション展観覧料が無料です。
費用
コレクション展観覧料: 一般300円(団体料金:240円)
お問い合わせ
慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621
富山県美術館
〒930-0806 富山県富山市木場町3-20
TEL 076-431-2711
日時
2026年9月25日–2026年12月28日
休館日:毎週水曜日(ただし月・日は開館)、10月13日(火)、11月24日(火)
開館時間:9:30–18:00(入館は17:30まで)
場所
富山県美術館3階展示室6
〒930-0806 富山県富山市木場町3-20
対象
コレクション展観覧券をお持ちの方は、どなたでもご覧いただけます。
*企画展観覧券でご入場の方は、当日に限りコレクション展も観覧可能です。
*70才以上と大学生以下の方はコレクション展観覧料が無料です。
費用
コレクション展観覧料: 一般300円(団体料金:240円)
お問い合わせ
慶應義塾大学アート・センター
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
TEL 03-5427-1621
富山県美術館
〒930-0806 富山県富山市木場町3-20
TEL 076-431-2711
主催・共催など
主催:富山県美術館、慶應義塾大学アート・センター