慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

山名常人《福澤諭吉胸像》日吉キャンパス野外彫刻洗浄保存処置

 日吉キャンパスに設置されている3点の野外彫刻に関しては、2008年度に洗浄保存処置および、着色調整保存処置を行った。本年度は、再び作品表面に汚損が認められたため、上記3点について、アート・センターを通じて専門家による洗浄保存処置を行った。本件はそのうちの1点である。



保存修復作業記録

2016年5月10日 ブロンズスタジオ/黒川弘毅/作業者:黒川弘毅、篠崎未来、遠藤啓祐

作品

作者=山名常人
作品名=福澤諭吉胸像
材質・技法=ブロンズ
寸法=高さ約1.2m
記名=作品背面「一九八五 常人作」商工学校同窓会、工業学校同窓会、中等部特別第1回第2回卒業生 寄贈


【作業前の状態・表面の状態】

・表面の状態:ワックスの喪失が進行し、撥水性の減退・喪失がみられた。 着色に用いられた塗料の劣化が進行し、右目下瞼の鋳造欠陥を樹脂で補修した箇所が見えるようになった。
・鳥の排泄物:痕跡が見られた。
・人為的キズ・落書きの個所:なし。
・ピンホール(鬆)・穴・亀裂:顕著なものは認められない。
・内部からの噴出・析出物:なし。
・破損・欠失個所:なし。
・その他の異常:認められない。
・変形個所:なし。
・固定状態:良好。


【作業の基本方針】

保護剤を更新して撥水性を維持する。


【作業内容】 

1.洗浄作業イオン系洗剤を用いて洗浄した。
2.保護剤塗布作業蜜蝋を全体に塗布し、色調を調整した後、輪郭にメリハリが出るように光沢を調整した。 
使用材料 蜜蝋、リグロイン

【作業結果】 

穏やかな光沢と良好な撥水性が復元した。

写真は左から
写真1:樹脂による補修箇所
写真2:樹脂による補修箇所
写真3:洗浄
写真4:ワックス塗布

日付

2016年1月27日


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