慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

岩田健《かたつむり》普通部野外彫刻洗浄保存処置

  岩田健《かたつむり》は、普通部校舎脇に設置されていたが、設置状況が危険であるため、2006年度に、洗浄保存処置を施し、校舎前植え込みに移動して設置した。今年度は、アート・センターを通じて専門家による状態確認と洗浄保存処置を行った。



保存修復作業記録

2016年5月10日 ブロンズスタジオ/黒川弘毅/作業者:黒川弘毅、篠崎未来、遠藤啓祐

作品

作者=岩田健
作品名=かたつむり
材質・技法=ブロンズ
記名=「岩」のモノグラム 地山背面に刻字


【作業前の状態・表面の状態】

・表面の状態:ワックスの喪失部分に淡青色の斑紋が生じ、撥水性の減退・喪失がみられた。淡青色さびには緑色への変化が観察され、安定したさびへの転換が進行していると推定される。
・鳥の排泄物:痕跡が見られた。
・人為的キズ・落書きの個所:なし。
・ピンホール(鬆)・穴・亀裂:顕著なものは認められない。
・内部からの噴出・析出物:なし。
・破損・欠失個所:なし。
・変形個所:なし。
・その他の異常:認められない。
・固定状態:良好。


【作業の基本方針】

保護剤のワックスを加熱塗布して着色を調整し、撥水性を維持する。


【作業内容】 

1.洗浄作業 非イオン系洗剤を用いて洗浄した。
2.保護剤塗布作業蜜蝋を全体に加熱塗布し、色調を調整した後、輪郭にメリハリが出るように光沢を調整した。 
使用材料 蜜蝋、リグロイン

【作業結果】 

ワックス喪失箇所の斑紋が目立たなくなり、穏やかな光沢と良好な撥水性が復元した。

写真は左から
写真1:作業前
写真2:発錆
写真3:撥水性
写真4:洗浄
写真5:作業後

Date

2016年1月27日


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