慶應義塾大学アート・センター Keio University Art Center

吉田三郎《平沼亮三胸像》日吉キャンパス野外彫刻洗浄保存処置

 日吉キャンパスに設置されている3点の野外彫刻に関しては、2008年度に洗浄保存処置および、着色調整保存処置を行った。本年度は、再び作品表面に汚損が認められたため、上記3点について、アート・センターを通じて専門家による洗浄保存処置を行った。本件はそのうちの1点である。



保存修復作業記録

2016年5月10日 ブロンズスタジオ/黒川弘毅/作業者:黒川弘毅、篠崎未来、遠藤啓祐

作品

作者=吉田三郎
作品名=平沼亮三胸像
材質・技法=ブロンズ(鋳造方法:真土型鋳造法)
制作年=1955年
設置年=1955年3月29日
記名=台座背面の彫り込み銘文中慶応義塾体育会寄贈(全国協議団体の平沼亮三への贈与を受けて)


【作業前の状態・表面の状態】

・表面の状態:ワックスの喪失部分に淡青色の斑紋が生じ、撥水性の減退・喪失がみられた。
・鳥の排泄物:付着が見られた。
・人為的キズ・落書きの個所:なし。
・ピンホール(鬆)・穴・亀裂:顕著なものは認められない。
・内部からの噴出・析出物:なし。
・破損・欠失個所:なし。
・変形個所:なし。
・その他の異常:認められない。
・固定状態:良好。


【作業の基本方針】

着色の調整を図りながら保護剤のワックスを塗布し、撥水性を維持する。


【作業内容】 

1.洗浄作業イオン系洗剤を用いて洗浄した。
2.保護剤塗布作業蜜蝋を全体に塗布し、色調を調整した後、輪郭にメリハリが出るように光沢を調整した。 
使用材料 蜜蝋、リグロイン

【作業結果】 

ワックス喪失箇所の斑紋が目立たなくなり、穏やかな光沢と良好な撥水性が復元した。

写真は左から
写真1:ワックス劣化箇所
写真2:洗浄
写真3:ワックス塗布
写真4:作業後

Date

2016年1月27日


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